■ 抄録・要旨
| 塩素化及び臭素化多環芳香族炭化水素類(ハロゲン化PAHs)は、その一部がダイオキシン様活性をもつ新規の環境汚染物質である。本研究では、その主要発生源と考えられる焼却施設の排ガスについて分析法を検討し、その濃度レベルと組成を調査した。試料には、都市ゴミ、汚泥、医療系廃棄物、建設系廃棄物を含む焼却施設からの排ガス(10検体)を用いた。全41成分のハロゲン化PAHsについて濃度を分析したところ、その平均値は1,030ng/Nm3、濃度範囲は2.8〜4,230ng/Nm3であった。また、同試料についてハロゲン化PAHsの毒性等量(TEQ)を算出し、ダイオキシン類のTEQと比較した。ハロゲン化PAHsの毒性等価係数の報告値は用いる毒性試験により異なっているため、一概に評価することは難しいが、検体によりハロゲン化PAHsのTEQがダイオキシン類のTEQよりも高いことが判明し、焼却排ガス中ハロゲン化PAHs調査の重要性が示された。
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